目の上の脂肪は眼窩隔膜の内側にある眼窩脂肪と、外側にあるルーフ(ROOF;隔膜前脂肪)で構成されています。眼窩脂肪は上まぶたでは2つ、下まぶたでは3つの区切られた部屋の中にあります。針穴から除去する方法と、切開して除去する方法があります。一方でルーフ(ROOF;隔膜前脂肪)は上まぶたの眼輪筋の下、眼窩隔膜の前にある脂肪組織で、眼窩脂肪に比べるとかたく、切開でしか取り除けません。当院では異なる3つの術式によって目の上の脂肪を除去しています。
目の上が腫れぼったく見えるといっても、何が原因かを特定する必要があります。
皮膚なのか、それとも目の上の脂肪なのか、あるいはその両方が原因なのか、その原因によって術式が異なります。
皮膚が分厚い場合は、長期間アイプチをしている方が多く、慢性的な炎症により皮膚が肥厚しています。
アイプチをやめれば改善していきます。脂肪が原因の場合は①眼窩脂肪によるものか、②ルーフ(ROOF;隔膜前脂肪)によるものか、それとも③眼窩脂肪+ルーフ(ROOF;隔膜前脂肪)によるものかを見極めて、術式を決定します。特に内側(目頭側)まで膨らみがあれば、眼窩脂肪を除去しないと改善しません。
医師が腫れぼったい目の原因を診断し、上記のどの術式で行うかを相談しながら決定します。
手術は局所麻酔で行います。挙筋法に準じて行います。瞼縁から8~10mmの高さの位置に、片側2箇所ずつ(両側4箇所)の約2mm程度の皮膚切開を加えます。切開部からまず眼輪筋を一部切除し、眼窩隔膜まで到達します。眼窩隔膜を切開し、眼窩脂肪を引き出します。上眼瞼の眼窩脂肪は2つの部屋から構成されているので、それぞれの穴からバランス良く、また脂肪組織は血管が豊富なため、丁寧に止血しながら除去します。糸を内側の結膜側から約10mmの幅で挙筋の中を通し、外側の結膜側から糸を出します。次に先に糸を通した結膜側の2箇所の同じ針穴から、それぞれ皮膚側に向かって糸を通します。最後に皮膚側内側の同じ針穴から糸を皮下に通し、皮膚側外側から出し結び埋め込みます。2mmの切開部は縫合しませんので抜糸は不要です。
※患者様の希望を優先するために、糸を結ぶ前に必ず確認していただきます。
手術は局所麻酔で行います。重瞼ラインを設定(瞼縁から7~8mmの高さの位置)し、皮膚切開を加えます。切開部からまず眼輪筋を一部切除し、露出した眼窩隔膜を切開し、眼窩脂肪を引き出します。上眼瞼の眼窩脂肪は2つの部屋から構成されているので、それぞれの穴からバランス良く、また脂肪組織は血管が豊富なため、丁寧に止血しながら除去します。最後に皮膚と挙筋腱膜をナイロン糸で縫合、重瞼ライン作成し終了です。抜糸は5日目でおこないます。
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手術は局所麻酔で行います。重瞼ラインを設定(瞼縁から7~8mmの高さの位置)し、皮膚切開を加えます。切開部からまず眼輪筋を一部切除しその下を頭側に向かって剥離します。中央から外側にかけてルーフを認めるので十分に剥離します。また眼窩隔膜上も剥離し、ルーフを丁寧に止血しながら除去します。最後に皮膚と挙筋腱膜をナイロン糸で縫合、重瞼ライン作成し終了です。抜糸は5日目でおこないます。
手術は局所麻酔で行います。眉毛下(眉毛の生え際)に沿って外側がやや広めの紡錘形あるいは平行四辺形で皮膚を切除するデザインとします。毛根を傷つけないようにメスの角度に注意しながら皮膚切開を加えます。皮膚と眼輪筋を一部切除し、その下を剥離します。切開法によるルーフ切除と異なり、直下にルーフが見えることが多く、眼窩隔膜上でルーフを丁寧に止血しながら除去します。最後に真皮、表皮と順にナイロン糸で縫合し終了です。 抜糸は5~7日目でおこないます。
手術は局所麻酔で行います。重瞼ラインを設定(瞼縁から7~8mmの高さの位置)し、皮膚切開を加えます。切開部からまず眼輪筋を一部切除し、その下を頭側に向かって剥離します。中央から外側にかけてルーフを認めるので十分に剥離します。また眼窩隔膜上も剥離し、ルーフを丁寧に止血しながら除去します。次に露出した眼窩隔膜を切開し、眼窩脂肪を引き出します。上眼瞼の眼窩脂肪は2つの部屋から構成されているので、それぞれの穴からバランス良く、また脂肪組織は血管が豊富なため、丁寧に止血しながら除去します。最後に皮膚と挙筋腱膜をナイロン糸で縫合、重瞼ライン作成し終了です。 抜糸は5日目でおこないます。
目の周囲は血管が豊富で、皮膚が薄く腫れやすいので、以下の事に気をつけて下さい。
① 入浴・飲酒・激しい運動など血液循環がよくなることは、2~3日は避けて下さい。
② コンタクトレンズの使用は、術後最低3週間避けて下さい(ハードコンタクトレンズの長期 使用は眼瞼下垂の原因になる可能性があるのですすめません)。
③ 抜糸前後のお化粧は控えてください。針穴から化粧成分が浸透し、感染の可能性や、傷が汚くなるからです。
“目の上が腫れぼったいから”、あるいは“腫れぼったくて目が開きにくいから”ということで、『自分の症状は眼瞼下垂ではないか!?』と私のメールやTwitterに質問される方や、実際に来院されて訴えられる方が多いです。
特に若い方に多く、すでに他院で眼瞼下垂の手術を受けてしまい、トラブルになっているケースもあります。その多くは挙筋腱膜性の眼瞼下垂ではなく、見せかけ、いわゆる偽の眼瞼下垂です。
本来であれば目の上の脂肪が原因で、それを取り除けば、もともと挙筋腱膜は正常なわけですから改善します。正常な挙筋腱膜を眼瞼下垂の手術に準じて前転させると、術後に目が開きすぎてドライアイになります。診断が非常に重要です。
■症例1: ROOF除去術+全切開による重瞼術
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BEFORE(開瞼) |
AFTER :1カ月後(開瞼) |
症例は『目の上が腫れぼったく、その重さで上まぶたが開きにくい』 が主訴でした。瞼縁角膜反射距離(Margin Reflex Distance;MRD)と瞼裂高などから眼瞼下垂と診断し、挙筋腱膜の処理と、ROOF除去をおこないました。施術後1ヵ月の状態は、まだまだ瞼縁から切開線までが腫れていますが、目の開きが良くなっています。瞳孔にかかっていた瞼縁は上がり、黒目がよく見えるようになり目元の印象が良くなりました。
■眼窩脂肪除去術+全切開による重瞼術
内出血、腫脹、左右差、脂肪を除去した部分の陥凹、浅い重瞼線、 深い重瞼線、不整な重瞼線(予定外重瞼線)、不整な瞼縁(アーチ)、 開瞼抵抗、低矯正(目の開きが悪い)、過矯正(目が開きすぎる)、 角膜炎、ドライアイ、傷の哆開(しかい;傷が開く)、 瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が残る可能性がある)、 中縫いの糸が出てくることがある、縫合糸膿瘍、眼瞼痙攣、 抑うつ・不眠など自立神経症状、頭痛、目の奥の痛み、 自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
■ROOF除去術+全切開による重瞼術
内出血、腫脹、左右差、脂肪を除去した部分の陥凹、 浅い重瞼線、深い重瞼線、不整な重瞼線(予定外重瞼線)、 不整な瞼縁(アーチ)、開瞼抵抗、低矯正(目の開きが悪い)、 過矯正(目が開きすぎる)、角膜炎、ドライアイ、傷の哆開(しかい;傷が開く)、 瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ可能性がある)、 中縫いの糸が出てくることがある、縫合糸膿瘍、眼瞼痙攣、 抑うつ・不眠など自立神経症状、頭痛、目の奥の痛み、 自分が想像していた結果が異なるなどが考えられます。
■ROOF除去術+眉下切開術
内出血、腫脹、左右差、脂肪を除去した部分の陥凹、 不整な重瞼線、不整な瞼縁(アーチ)、低矯正(目の開きが悪い)、 過矯正(目が開きすぎる)、傷の哆開(しかい;傷が開く)、 瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が目立つ可能性がある)、 ドッグイヤー(傷の両端が盛り上がる)、 真皮縫合糸(中縫いの糸)が出てくることがある、縫合糸膿瘍、 テープかぶれ、毛根の損傷、眉毛の脱毛、 自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
■眼窩脂肪+ROOF除去術+全切開による重瞼術
内出血、腫脹、左右差、脂肪を除去した部分の陥凹、浅い重瞼線、 深い重瞼線、不整な重瞼線(予定外重瞼線)、不整な瞼縁(アーチ)、 開瞼抵抗、低矯正(目の開きが悪い)、過矯正(目が開きすぎる)、 角膜炎、ドライアイ、傷の哆開(しかい;傷が開く)、 瘢痕形成(傷の肥厚や陥凹など傷跡が残る可能性がある)、 中縫いの糸が出てくることがある、縫合糸膿瘍、眼瞼痙攣、 抑うつ・不眠など自立神経症状、頭痛、目の奥の痛み、 自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
眼窩脂肪除去術+全切開による重瞼術 | 両側 ¥385,000 |
ROOF除去術+全切開による重瞼術 | 両側 ¥385,000 |
ROOF除去術+眉下切開術 | 両側 ¥440,000 |
眼窩脂肪+ROOF除去術+全切開による重瞼術 | 両側 ¥495,000 |